電波研究部について

あゆみ

国立天文台の電波天文学の源流には、東京大学東京天文台(東京都三鷹市)における太陽電波・宇宙電波の観測と、名古屋大学空電研究所による太陽電波観測および電波干渉計の開発、そして水沢(岩手県奥州市)の緯度観測所による地球回転の精密観測があります。

1948年に行われた日食観測が、日本の電波天文学のはじまりです。1953年には三鷹に口径10m赤道儀型電波望遠鏡が完成し、太陽電波の観測が開始されました。その後1969年には野辺山太陽電波観測所が建設され、現在まで太陽電波観測が続けられています。名古屋大学空電研究所で精力的に研究・開発が行われた太陽電波干渉計の研究は電波へリオグラフ(1992)として実を結び、また野辺山ミリ波干渉計(1982)の実現にも大きな役割を果たしました。

太陽以外の天体からの電波(宇宙電波)の観測については、1956年に三鷹に設置された八木アンテナによる受信が最初の一歩でした。その後24m球面鏡が1963年に三鷹に建設され、天の川銀河に分布する水素原子からの電波の観測に挑戦しました。また、ミリ波の観測では三鷹に建設された30cm望遠鏡(1968)、6mミリ波望遠鏡(1971)での経験が、世界最先端の観測装置としての野辺山45m望遠鏡(1982)に結実し、日本の電波天文学の飛躍的な発展につながりました。そして現在、国立天文台は圧倒的な性能を持つアルマ望遠鏡を国際協力で運用するに至りました。

もう一つの源流である緯度観測所は、長年にわたって可視光による星の観測をもとに地球回転の研究を行ってきました。その後、飛躍的な観測精度の向上を目指す電波干渉計観測計画としてVERAが生まれました。VERAは当初は地球回転の研究に軸足を置いていましたが、やがて電波干渉計を使った天の川銀河の地図作りプロジェクトへと移行しました。また固体天体としての地球の研究を進展させる形で、月や小惑星、惑星の衛星などの研究も電波研究部の中で行われています。

各天文台・観測所の沿革

日本の電波天文学コミュニティ

国立天文台は大学共同利用機関として、研究者コミュニティの総意をもとに天文学研究を推進するために必要な大型観測装置を開発し、運用しています。電波天文学における日本の研究者コミュニティを代表する組織が、宇宙電波懇談会です。宇宙電波懇談会は日本の電波天文学の発展と振興を図るために1970年に作られた団体で、国立天文台や大学の電波天文学研究者・技術者・大学院生などが加入しています。宇宙電波懇談会の重要な役割として、研究会・シンポジウムの開催を通して次世代の日本の電波天文学の方向性を提言することが挙げられます。野辺山45m電波望遠鏡やアルマ望遠鏡など国立天文台が持つ大型電波観測装置は、このようなコミュニティからの大きな支援・協力のもとで推進されました。また、宇宙電波懇談会が推薦する研究者が国立天文台電波専門委員会の委員となり、コミュニティの代表として国立天文台の観測装置の運営に参画しています。